水景に魅せられて

お酒やアクアリウムなど

京都を楽しむ 前編《錦市場から大原》

その日は朝から雪が降っていた。

タカシは身支度を整えると用意してあった小さなボストンバッグを持ってタクシーに乗った。
駅に着いたがまだ雪の勢いも弱まらず、外での待ち合わせには寒すぎた。
タカシにとって待ち合わせの相手のケンは同じバーテンダーの先輩にあたり、中に入って待つのは気が引けて雪の中外で待つことにした。
風も強く真冬の朝の寒さを痛感し、限界に達しそろそろ中に入ろうかと思ったところへケンがゆっくり歩いてやってきた。
13分遅れだ。
「おはよー。タカシ寒くないの?中で待ってればよかったのに〜。」と改札の方へ歩いて行ってしまった。
笑えない冗談だ。
後ろからドロップキックしてやろうかと思った。


2人は新幹線に乗り京都へ向かった。
明日は2人の友人が新しく開店させるバーのオープニングパーティーがある。
2人は昼から手伝う事になっていた。
それなら前日から行って京都観光しようと飲んでる席で決めてしまったものだから、男2人の一泊京都旅行が開催される事になってしまった。

午前中に京都に着き、とりあえずホテルに荷物を預けに行く。
京都の友人が取ってくれた「サクラテラスザギャラリー」という去年末に出来た新しいホテルだ。駅南口から歩いて5分ほどのところにある。
着いてみると、男2人で泊まるにはオシャレすぎる外観。受付も敷地内に入った屋外にある。
ストーブやたいまつが焚かれ、屋根があるので敷地の外よりは若干暖かい気がする。
ストーブの回りにはソファもあり灰皿が置いてあった。
ここで吸うタバコは美味しいだろうなぁと、やめたタバコを残念がった。
同じ一階にはレストランもあり、生演奏も毎日行なっているらしい。
レストランには壁があり一安心。
一泊2食のプランを予約してあり、ケンと生演奏を聴きながらディナー決定となった。

荷物を預け身軽になった2人は駅で、地下鉄バス一日券を1,000円で買い、地下鉄で錦市場に向かった。
烏丸線で10分程で四条駅に着き、そこから10分程歩き錦市場のアーケードに着いた。
細い通りの両サイドに小さな店がたくさんあり、いろいろ見て歩くにはとても楽しい。
途中で「みやこつる」という日本酒を買い、飲み歩き開始。

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フルーティーな甘さを強く感じる酒だ。
居酒屋で冷やで飲みたい美味い酒だった。
昼間に外で飲むには香りが強く、気温が低くて救われた。
おばちゃん達がアテを色々試食させてくた。
途中に立ち飲み屋があったので熱燗をいただく。
寒い外での熱燗はこれはこれで美味い。
つまみを2、3皿もらい昼ごはんとした。
グレープフルーツに穴を開け、中だけを攪拌してラムを注いで作るまさにフレッシュフルーツのカクテルをもらい急に南国の風を吹かせた。

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当たり前だけど雑で本当に美味かった。

お酒も入り温まった2人は錦市場を抜け大原に向かった。
行き先はケンが全て決めている。
タカシは大原が初めてだった。
「ケンさん大原は何があるんですか?」
「苔があるんだよ、苔に覆われた綺麗な庭を見に行くんだ」
この人は本気なのか冗談なのかよく分からない。
男2人でバスで30分かけて雪もちらつく中、苔を見に行くって…。

30分後大原のバスターミナルに着き、呂川に沿って坂を上って行く。
坂の途中に柴漬けの店があり、おばちゃんに試食を何種類かもらい、大根の柴漬けをお土産用にもらう。
ほんと美味しかった。
10分程歩いて三千院の立派な門が見えた。
受付を済ませ、靴を脱いで建物を回る。
この時期の板床は氷のように冷たい。
庭に出ると緑の絨毯に雪が所々積もっていて光を反射している。
ケンさんが見たいと言っていたのも分かる。
「苔ってこんなに綺麗なんだ」
溜息のように思わず言ってしまった。

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苔の中には小さく可愛らしいお地蔵さんもいて、思わず笑顔になっていた。
こんなに素敵な場所なのに人が少ないのもまたいい。
ゆっくり歩き1時間くらいかけて一周した。
ケンさんは苔の写真を撮り、池を覗いたまま動かなかったりしていた。
夕方になってたのでまたバスで京都駅まで行きホテルに戻った。

これから京都の夜を楽しもうとタカシはワクワクしていた。