水景に魅せられて

お酒やアクアリウムなど

美味しいモヒートの作り方

真っ青な空が広がっていた。

風もなく、梅雨独特の重たい空気が漂っていた。

まだ蝉は鳴いておらず、ワタルの住む住宅地は土曜日の夕方というのにとても静かだった。

「あっついな」

玄関から出ると思わず溜息のように声が出る。

七分袖のジャケットを脱ぎ駅に向かって歩き出した。

携帯を取り出してユミコとのLINEのやり取りを見返す。

カラフルなスタンプがふざけている。スクロールして今日の待ち合わせの時間を確認する。

時計を見て少し速度を速めた。

 

ワタルは半月前、婚活パーティーでユミコと知り合い、やり取りを繰り返しやっとデートに誘えた。

活発でよく笑う可愛らしい27歳の彼女はパーティーでも目立っていてワタルは最初から彼女が気になっていた。

 

たまに行くケンさんのお店を予約してある。少し緊張して来たがワタルは営業の仕事をしているので話をするのは得意な方だと思っている。

 

5分ほど前に待ち合わせの場所に着くと、ユミコはもう来ていて、笑顔で手を振っていた。

 

ワタルはユミコよりも5つ上の32歳、一年前に6年付き合った彼女と別れ、長い間引きずった。

 

久しぶりのデートに久しぶりの恋が始まりそうだ。

 

店の前に行くとユミコは来たことがなかったらしく期待感を表現しようとしていた。

中に入るとケンさんが出迎えてくれた。

いつもはカウンターに座るが今日は向き合って座るソファ席にしてもらっていた。

意地悪そうに笑うケンさんに『やめて下さいよ』と目で合図する。

ソファ席には小さな水槽がありカラフルな小さな熱帯魚が涼しげに泳いでいた。

ケンさんの趣味なのかな?

似合わないなと鼻で笑った。

 

ユミコはビールが苦手らしく、何を注文しようか迷っていた。

ワタルはケンさんのモヒートが好きでミントの置いてある時はよくモヒートやミントジュレッブを飲んだ。

「ミント大丈夫ですか?ここのモヒート美味しいですよ」

ユミコは頷き、ワタルはビールとモヒートを注文した。

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2人のテーブルに置かれたモヒートを飲み、ユミコは「美味しい〜!!」と笑顔だ。

ワタルも自分の手柄のように喜んだ。

 

ケンさんにモヒートの作り方を教えてもらったことがあった。

ワタルの家で母親がミントを育てていて結構な量が採れるからだ。

 

ミントはスペアミントとペパーミントを葉っぱだけにちぎって茎は捨てる。

スペアミントは上品な香りでペパーミントは野生的な香りがする。合わせることでいいバランスになるとケンはいう。

葉っぱ30枚ほどグラスに入れ、ソーダ水を10mlくらい入れてペストルで潰す。すりこぎのようなものでもいいが摺る(する)様にではなく叩くように潰す。

レモンとライム共に1/8カットにしたものを入れ、皮の苦みも出す様に軽く潰す。ゴールドラムという少し熟成色がついたラムを45mlいれ、シロップを10mlいれてよく混ぜる。クラッシュアイスをグラスに詰めてまた混ぜる。

グラスの中のラムが冷えたら、冷えた炭酸水をいれてスプーンなどでグラスの下のラムやミントの葉を上に持ってくる様に混ぜる。

飲むときにミントの葉や氷が入ってくるのが嫌ならストローをつければいい。

これで完成だ。

 

ワタルも何度か家で作ってみた。

作る人によって味が大きく変わるカクテル。

お店によって違う楽しいカクテルだ。

ユミコも気に入ってくれた様だ。

「今度はワタルくんのモヒートも飲んでみたいな」

軽く赤らめた顔でストローをくわえながら、上目遣いでワタルを見てくる。

 

ワタルはビールを一気に飲み干した。